karas

ARK

海岸は水のopal緋に追われる星を数へて夜へ手を振る

七色の結晶採る子ら飛びたるに思ひし友は自由の虜

シュー生地のrecipe説く彼女なめらかなる目蓋の色にクリイム纏ふ

紫の惑星(ほし)を刻みし銀塩のフィルム送りてきみの眼光る

吾(あ)の口のいろ冷やかせどきみの手にも氷菓子の溶けおつる青

彷徨いし海月のごとく横たわるきみの下には白金(プラチナ)の砂

瑠璃星の少年ふたり機械鳥(メカニカル・バード)でみどりの夏風に乗る

海岸の鋭き爪は藍玉を掻き集めをり陽光眩しく

重力の枷外す羽根庇ひつつ白磁の脚は禁忌の森へ

講釈は四角き青へ霧散しき虹を想ひて握るignition key

鳥を駈る君は口もとに猛禽の微笑彩り雲に溶けゆく

作業場に天より才を授かりし友のまぼろし吾(あ)の眠りを責む